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地方公務員の育休に興味がある人「地方公務員の育休制度が知りたい。仕事を続けたいんだけど、正直今の職場では厳しい・・・公務員の育休って3年?手当額は?育休が取りにくい雰囲気ない?」
こういった悩みや疑問にお応えします。
本記事の内容
- 地方公務員の育休制度について
- 育休を取ったときの、給料・ボーナス&育休期間を公開
- 地方公務員は子育て支援制度に恵まれている
記事の信頼性
この記事を書く僕は、元特別区職員であり、元市役所職員です。地方公務員で働いている間に、出産・育児を経験した1児の父です。
読者さんへの前置きメッセージ
世間一般のイメージとして「地方公務員は働きやすい」「育休が取りやすい」があります。
しかし、実際の状況を公務員に聞くチャンスは多くはないはず。
そこで、前半に「地方公務員の育休制度」を解説し、後半には「育休を取った元公務員の経験」や「公務員の雰囲気」を紹介します。
地方公務員のリアルな雰囲気を感じ取っていただけたら幸いです。
地方公務員の育児支援制度は、手厚い!
地方公務員の育児支援制度は、主に4つあります!
- (1)育児休業:いわゆる”育休”
- (2)育児時間:最大90分の休みが取れる(有給)
- (3)部分休業:最大120分の休みが取れる(無給)
- (4)育児時短勤務:勤務時間を短くできる
- (5)保育送迎減免:保育園の送迎するときに休める(無給)
「地方公務員の育児休業等に関する法律」という法律で定められているので、全国どの地方自治体でも同じです。
(1)育児休業制度(”育休”):最長3年間取れる
公務員の育児休業制度とは「子どもが3歳になるまで休める制度」です。
いわゆる「育休」ってやつです。公務員は3年も取れます。
地方公務員と民間企業の比較
育休が取得できる期間 | 根拠法令 | |
民間企業 | 原則:1歳まで 例外:預け先が確保できない場合、2歳まで延長可 |
育児・介護休業法 |
地方公務員 | 3歳まで | 地方公務員の育児休業等に関する法律 |
ご覧のとおり、圧倒的に公務員が強いです。
もちろん、民間企業だって、労使の取り決めによっては育休を手厚くしている場合もあります。
しかし、厚生労働省の「令和元年度 雇用均等基本調査」によると、2歳を超えた育休がある企業は10.3%だけです。
育休中の給料はどうなる?⇒手当が出ます(※ただし、収入減る)
育休を取ると、給料が支給されない代わりに「育児休業手当金」が支給されます。
育児手当の計算方法は、ざっくりこんな感じ。
- ①180日まで:標準月額日額 × 67% × 当該月の育児休業取得日数
- ②181日以降:標準月額日額 × 50% × 当該月の育児休業取得日数
(ちょっと乱暴ですが)上記をざっくりまとめると、
- ①育休から半年 ⇒給料が3分の2になる
- ②半年以降 ⇒給料が2分の1になる
ただ、手当が支給されるのも、1年間だけ。育休2年目以降は、無収入になるので注意です。
(2)育児時間制度:子どもが1歳3か月まで時短勤務できる【有給】
育児時間制度とは、「子どもが1歳3か月まで、時短勤務できる制度」のこと。
この制度のすごいのは、有給ってところ。公務員に与えられる特権ですね。
ただし、特権なので条件は厳しめです。ざっくり下記のとおりです。
- 対象:生後1歳3か月に達しない子を育てる職員
- 給与:有給
- 時間数:1日最大90分(1日2回、各45分が原則)
- その他:勤務することが前提のため、年休との組み合わせで1日休みは不可。
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仕事を頑張りたい人や、職場の事情でどうしても早く復帰したい人もいるはずです。だけど、完全フルタイムで仕事をするのはムリそう…。
このようなケースす。
具体的には下記のとおり
育休を1年取る ⇒職場に復帰する(子を保育園に預ける) ⇒育児時間制度を3か月取る ⇒フルタイムで働く
完全フルタイムで働くまでの”慣らし”として、活用するパターンが多いですね~。

僕の身の回りでは、育休復帰して完全フルタイムになる職員はゼロでした。
つまり、公務員ママ(もしくはパパ)はもれなく育児時間制度を使っています!(※わたしの観測上では、ですが。)
(3)部分休業:最大120分の休みが取れる(無給)
部分休業とは、子どもが小学生になるまで、1日2時間まで休める制度です。
育休も使って、育児時間も使って復帰した時、「やっぱりツラい…」となったときに非常に助かるシステム…!

注意点は、休んだ分だけ給与が減額されることです。
1時間休んだら1時間分が、2時間休んだら2時間分が、その月の給料からマイナスされます。
(4)育児短時間勤務:子どもが小学生になるまで、時短勤務
育児短時間勤務とは、「子どもが小学生になるまで、勤務時間を短くできる制度」です。
選べる勤務パターンは、以下の4つ。
- 週5日・3時間55分
- 週5日・4時間55分
- 週3日・7時間45分
- 週2日・7時間45分 + 週1日・3時間55分
ただ、時短した分だけ、給料もボーナスも減ります。
しかし、わたしの経験上、この制度を使っている人は一人もいませんでした…。
実際に使おうと思うと、使いずらい制度かもしれません。
半日で帰ったり、週2日しか働かないってのは、むしろ仕事の調整がめんどうになりますよね…。
(5)保育送迎職免:子どもを保育園に送迎するために、休める
共働きが主流になっている現在、これはありがたい制度ですね。
制度の概要はこんな感じです。
- 対象:小学校3年生までの子を、保育園または学童に送迎する男女
- 時間:15分単位、1日2回取れる(30分以内)
- 給料:無給
保育園だけでなく、学童保育に預ける場合も対象なのは、素晴らしいです。
ただ、申請書に加えて、計画書や母子手帳の写しを提出しなくちゃいけないので、ややめんどうなところ。
とはいえ、保育送迎減免を利用している公務員ママ・パパは多かったです。というか、ほぼ100%使ってました!
よくある質問
ここからはよく訊かれる質問に答えていきます。
育休中のボーナスは?:育休中にボーナスは支給されません。
育休中にボーナスは支給されません。また、昇格もありません。
したたかな女性職員は、ボーナスに合わせて妊活をしている方もいました。
お金のためにそこまで。。。とは思いましたが、価値観は人それぞれですね。
育休中の住民税はどうなりますか?:支払います。支払い方法は人事と相談
結論、育休中でも住民税は支払います。免除とはなりません。
ただし、育休中は無給のため給料からの天引きができない点に注意です。支払い方法は、人事課と相談して決めるのが一般的ですね。
補足ですが、健康保険料や年金(40歳以上は介護保険料)の支払いは免除することができます。
免除ですので、育休復帰後に支払う必要もありませんし、将来もらえる年金が減額されることもありません。
注意点は、自分から申請をしなければいけないこと。しかも、「育休に入る月の月末まで」といった条件もあるので、気を付けたいです。
就職して1年目でも育休は取れるの?:新人でも育休は取れます。
言うまでもなく、新人でも育休は取れます。転職1年目も同様です。
さらに補足すると、育児休業手当金もちゃんと出ます。
このあたりは「公務員」って感じですね。制度やルールはフェアに守ります。
余談ですが、民間企業では少しルールが異なるようでして、具体的には下記です。
業種 | 育児休業手当の給付条件 |
民間企業 | 育児休業を開始した日前2年間に 雇用保険の被保険者期間が12か月以上 |
地方公務員 | 条件なし |
つまり、民間企業の場合、入社して1年目の職員は基本的に育休手当がもらえません。
しかし、公務員の場合は、入庁して1年目の職員でも育休手当がもらえます。
この違いって大きくないですか?これを知ったときは正直驚きました。

わたしの知り合いでも、公務員に転職したその年に育休に入った女性が何人もいます。なるほど、この制度を熟知していたのか・・・。
育児休暇の取得率は?期間は?:取得率はほぼ100%、期間は半年以上が大半
地方公務員の育休取得率はほぼ100%、1年以上取る人は半数です。
わたしの知り合いで育休を取らなかった人はいません。半年未満で復帰する人も見たことがありませんでした。
【経験談】2020年1月から育休を取った話を紹介します
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地方公務員の育休に興味がある人「公務員の育休については、なんとなくわかりました。ただ、実際の職場の雰囲気はどうなんですか?ほかの職員にイヤな顔されたり、上司からパワハラされたりしませんか?育休を取ったの話を聞かせてほしいです。。。」
ここからは、こういった疑問にお応えしていきます。
2020年に育児休業制度を利用しました
妻の妊娠が発覚したのは2019年7月で、僕も妻も地方公務員でした。我が家の状況は下記。
- 産休に入る前:超過勤務免除、時間短縮勤務(60分)
- 出産:夫、出産休暇を2日取得
- 育児期間:丸1年
- 育休手当:約200,000円
- 育休から復帰後:育児時間制度を利用(90分/日)
- 現在:時間短縮勤務(無給)
- その他:育休を取る前に年休を消化しました
こんな感じでして、育児支援制度をありがたく使わせていただき、身体的にも精神的にも経済的にも助かりました。
職場の雰囲気は?:育休を取ることが当然
僕たち家族が実際に育児を経験して、肌で感じたことをつらつらと書き記しますね。
①育休を取るのは当然であるという雰囲気
前提として、「育休を取るのは当たり前」という雰囲気が公務員にはあります。
上司に妊娠を報告すると、「いつから産休に入るか、いつまで育休を取るのか」を聞かれました。周りの職員からも同じことを聞かれます。つまり、「女性職員が妊娠=一定期間育休を取る」という職場風土がありますね。
その一方、夫である僕はというと、「育休は取るの?」と上司から聞かれませんでした。むしろ「奥さんが育休中は頑張って仕事だね」と激励される始末。
まだまだ男性の育休取得は浸透していないのが現実です。

2021年6月、育児・介護休業法の改正がありました。「男性の育休取得の促進」が改正の目玉となっていて、政府も男性の育休取得の推進に力を入れています。
②出産で退職する職員は少ない
地方公務員は育休を取る風土が根付いているので、出産を理由に公務員を辞めてしまう職員は非常に少ないです。
実際、僕の知り合いで、出産を理由に退職した職員は1人もいないです。地方公務員は、安心して子育てに専念できる環境といえます。
③地方公務員は女性職員の割合が多く、課に育休を取っている人が1人はいる
女性の社会進出は、公務員の中でも実は地方公務員で進んでいます。
なぜなら、地方公務員では女性職員の割合が高いからです。男女共同参画局によれば、政令指定都市における採用者に占めるの女性の割合は約45%と約半数が女性です。
市役所の窓口に行くとわかりますが、女性の職員さん多くないですか?イメージ通り、地方公務員にはたくさんの女性職員が働いています。

僕が配属された係は9人中8人が女性で、僕一人だけ男性でした。課に一人は育休中の女性がいるほどです。
※参考:男女共同参画局「地方公務員採用者に占める女性の割合の推移」
④育休を取った職員の代わりに、育休代替職員が配置される
地方公務員では育休職員の代わりに「育休代替職員」が配置されるのをご存じでしょうか。自治体のホームページをよく見ると、「育休代替職員を募集します」という記事があります。
たとえば、下記の自治体などです。
上記のように、育休に入る職員が出ると、代わりの職員を採用する仕組みがあるんですね。
「わたしが育休に入ったら、他の職員の負担が・・・」と、自分を責めてしまいがちですが、地方公務員には育休代替職員といった仕組みがあるので、多少気持ちが楽になりますね。

僕が働いていた市役所では課の職員20人のうち4人が育休に入り、育休代替職員が4人配置されていました。
まとめ:地方公務員は子育て支援に恵まれている
地方公務員は育児支援制度に恵まれています。
わたしの知り合いでは、「結婚を機に出産子育て支援が充実している地方公務員への転職を決意し、公務員試験を受けた」という人がゴロゴロいますよ。
仕事のやりがいはもちろん重要ですが、人生のうち子育てに専念したい期間があるのも事実。その時は、仕事よりも家庭の時間を大切にしたいですよね。
制度上でも私の経験上でも、地方公務員は子育てがしやすい環境が整っているといえます。