この記事では、
- 今の仕事を辞めて、地方公務員に転職したい!
- 公務員は安定してる!仕事が楽そう
- でも、公務員に転職するデメリットやリスクもあるんじゃないの?
こういった悩みや疑問を持つ方に、
- ①地方公務員に転職するメリットは5つ
- ②地方公務員に転職するデメリットは5つ
- ③他人の意見ではなく、自分の頭で考えるべき
を、元地方公務員の僕が実体験に基づいて、解説します。
記事の信頼性
この記事を書いている僕は、新卒で特別区に就職した後、地元の市役所に転職した経験があります。
7年間の公務員生活をとおして、感じたことやわかったことをありのままにお伝えします。
地方公務員への転職を考えている方の悩みや疑問が、少しでも解決してくれたら嬉しいです。
地方公務員に転職するメリットは5つ
地方公務員になる魅力を一言でいえば、人生の設計が楽になります。
①充実した福利厚生
- 有給:20日(1時間単位で取得可)
- 夏休み:5~7日
- 育児休暇:最大3年
- 育児短時間勤務:最大90分取得可
- 子どもの看護休暇:5回/年
- 出産お祝い金:5万円
- 結婚お祝い金:1万円
- 娯楽施設:割引や格安チケットあり
自治体によって内容は異なりますが、だいたいは上記のとおりです。
制度も整っていますが、制度がちゃんと使われている点も素晴らしいです。
例えば、女性の育児休暇取得率は99%です。育休に関しては、>>公務員は育休3年取れるってホント?地方公務員の育休事情を元公務員が解説します【体験談】で解説しました。

有休も取りやすいので、平日の夜に遊びに行ったり、旅行に行ったりすることもできますよ。
②転勤が少ない
地方公務員のメリットは転勤が少ないことです。
- 本庁舎内:70%
- 圏域内の出先機関:25%
- 国や都道府県に出向:5%
上記が地方自治体職員の異動パターンでして、95%の人はその地域内での異動です。
ごく一部、優秀な若手は国や県に出向することもありますが、同期でも1人か2人いる程度。圧倒的に少ないです。
※都道府県や面積の広い自治体は、異動≒引っ越しになります。
③安定した給料
「公務員の安定神話は崩れた」という意見を耳にすることがありますが、僕の実感は違います。
なぜかというと、個人のスキルや成果、社会情勢などに関わらず、年功序列で給料が上がっていくからです。
毎月、一定の給料が銀行口座に振り込まれるのは幸せなことで、経済的にも精神的にも穏やかになれますよね。

仕事ができない上司や先輩の給料が、仕事がバリバリできる若手の2倍以上あるなんてことも珍しくないです。この不合理に反応してしまう人は、公務員が向いていないかもしれません。
>>【経験談】7年働いてわかった地方公務員に向いている人の特徴
④地方でも給料がいい
地方公務員の魅力は、地方にいけばいくほど際立つと、僕は思っています。
なぜというと、地方公務員の基本給は、地域に関係なくほぼ同じ水準だからです。

そしたら、東京の公務員は生活が苦しくないですか?
公務員には地域の格差を是正するために、「地域手当」というものがあります。
- 物価が高い・民間企業の賃金が高い:基本給×最大20%
- 物価が低い・民間企業の賃金が低い:基本給のみ
(簡単にいうと)上記のとおりでして、特別区が20%、次いで大阪市や横浜市が16%となっています。
都会での生活(手取り25万)
- 家賃:10万
- 光熱水費:1万
- 通信費:5,000円
- 食費:3万
- 娯楽:1.5万
- 衣服:1万
- その他:1万
- 収支:7万
地方での生活費(手取り20万)
- 家賃:5万
- 光熱水費:1万
- 通信費:5,000円
- 食費:2万
- 娯楽:5,000円
- 衣服:5,000円
- その他:1万
- 収支:10万
都市部の自治体の給料は高くても、出ていくお金が多いです。逆に、地方で暮らした方が手元に残るお金が多くなります。
僕の感覚では、都市部で生活するお金を地域手当でまかなうことは相当に厳しい。
このことが、僕が特別区を辞めた理由だったりしています。
参考:東京で地方公務員は、生活が苦しい【改善案あり】
いつも思うのですが、若い人が東京で「ひとり暮らし」をしたら、貯金不可能じゃないですかね。
手取り25万として、家賃で8万、食費5万、交際費5万、その他2万とかで、消えるかなと。これじゃあ自己投資で本を買ったりもできないし、かなりハードな予感。実家やルームシェアじゃないと、お金消失— マナブ@仮想通貨 (@manabubannai) July 25, 2019
⑤社会的な信用がつく
地方公務員の社会的な信用は大きいです。
- 銀行口座の開設
- クレジットカードの作成
- 住宅ローンを組む
- 自動車ローンを組む
- 生命保険に加入
上記の審査で落ちることは、ほぼありません。むしろ、銀行や保険会社のほうから「住宅ローン組みませんか?」「生命保険に入りませんか?」と、しつこい営業がくるくらいです。
それくらい、公務員は社会からの信用があります。
公務員として働いた経験が良かったとは思わないけど公務員の職歴はマジで役立った。職務経歴書に箔がつくから面接官に一目置かれるし、しかもその肩書は一生使える。その意味で最初は出来る限りの大企業に入るべきだし新卒カードは慎重に使うべき。大企業の職歴があればベンチャーなんかいつでも行ける
— トーマス@ガジェマガ(バイク日本一周中) (@gadgetKaeru) September 6, 2021
地方公務員に転職するデメリットは5つ
僕が感じた地方公務員のデメリットは、下記のとおりです。
- ①給料が下がっていく
- ②副業禁止
- ③働き方が非効率
- ④仕事がつまらない
- ⑤現代に求められるスキルが身につかない
①中長期的に公務員の給料は下がっていく
地方公務員の給料は、中長期的に見ると下がっていく可能性が非常に高いです。その最大の理由は、「少子高齢化」と「人口減少」です。
2016年に、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口」が衝撃的な内容でした。
人口減少が加速する二ホン
年次 | 0~14歳 | 15~64歳 | 65歳~ | 全人口 |
1980年 | 約2,700万人 | 約7,500万人 | 約1,100万人 | 約1億1,000万人 |
2015年 | 1,595万人 | 7,728万人 | 3,387万人 | 1億2,709万人 |
2021年 | 1,400万人 | 7,406万人 | 3,639万人 | 1億2,483万人 |
2056年 | 999万人 | 4,984万人 | 3,670万人 | 9,653万人 |
2065年 | 898万人 | 4,529万人 | 3,381万人 | 8,808万人 |
上記のとおりでして、今後50年で4,000万人以上の人口が減少していく見込みです。
「経済=人口」
人が生まれれば、衣食住の需要が高まりますよね。日本の高度成長は、人口爆発によって引き起こされたといっても過言ではありません。
しかし、今の日本は人口が減少しています。人口が減っていく日本は、経済が衰退していく。
そして、公務員の給料は、民間企業の平均値になるように決まっています。
つまり、日本の企業が衰退すれば、公務員も一緒に衰退するんですね。

人口推計は、未来を確実に予想できる指標と言われていて、外れが少ないです。
※2021年8月1日現在の人口は「1億2,530万人」です(総務省統計局)。
②副業禁止
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将来的に給料が減るんだったら、今のうちに副業してリスクに備えておこう!
と、考えるのも自然ですが、公務員は副業ができません。法律によって禁止されているんですね。
つまり、地方公務員は「給料収入」が唯一の収入源であり働き方です。
給料の減少を副業でカバーできないし、公務員以外のスキルを身につけることもできません。
とはいえ、世間的には「副業ブーム」ですよね。大企業でも副業を解禁しています。そして、公務員でも一部自治体では副業解禁の流れがきています。
副業解禁している自治体
上記のように一部の自治体で、副業を認める動きが出てきています。
僕自身は、公務員だって副業をしてスキルアップすべきだと思っています。
参考:地方公務員こそ副業(スキルアップ)をしたほうがいい
とはいえ、公務員の副業には大幅な制限があります。。。
2021年現在では、公務員=副業禁止と認識しておいて間違えなさそうですね。

厳密に言えば、「副業は禁止ではなく、副業が制限されている」です。しかし、あえてわかりやすく「副業が禁止されている」と表現しています。
③働き方が非効率
地方公務員の働き方は、非効率です。
以下は国家公務員の例ですが、地方公務員でも本質は似ているので引用しました。
- 年度末で超勤予算が枯渇し支払えないと言われた。(総務省 40代)
- テレワーク(在宅勤務)では残業として認められないという空気がある。(農林水産省 20代)
- 省庁からアポ取りする際、案件の明確化のためFAXでの申し入れが必要。(環境省)
この調査結果を見て、地方公務員も他人事じゃないなと感じました。
国家公務員ほど悲惨な状況でないかもしれませんが、地方公務員も同じような事態が発生しているからです。
詳しくは、>>参考書籍:ブラック霞が関を読むと状況がよくわかります。
④仕事がつまらない
公務員の仕事の9割は、地味な仕事です。
- 形式的な会議やイベント
- 申請書のチェック
- 通知文の発送
- 議会答弁書の作成
- 支払い伝票の作成
- 文書の整理
仕事の大半が、完全マニュアル化された単純事務作業ですね。
よくも悪くも、誰がやっても同じ水準になるように、マニュアル化されています。

特に地方自治体の仕事は、税金の徴収や介護保険など、国や県が作った制度が業務の中心。僕は、創意工夫する余地が少ないようにも感じられました。
⑤現代に求められるスキルが身につかない
地方公務員の世界で身につけたスキルは、地方公務員の中でしか通用しないスキルがほとんどです。
- 交渉力
- 調整力
- 説明力
- 文章力
- Excel・Word・パワポの操作スキル
上記のとおりです。コミュニケーション能力が重要でして、外部の人とはもちろん、内部の人との調整力が身につきます。
しかし、現代では、上記を前提としてもう一歩踏み込んだスキルが求められるのも事実です。
- 英語力
- データ分析
- プログラミング
- マーケティングスキル
- Webデザイン
- アフィリエイト
- Webライティング
- 画像・動画編集
上記のとおりでして、現代では、「語学力」や「ITスキル」が必須ですよね。
しかし、公務員の仕事で語学力やITスキルは身につきません。僕は地方公務員として7年働きましたが、語学力やITスキルを使う場面がほぼゼロ…。だから、学ぶ場面も少ないんです。
グローバル化したって言っても、役所のお客さんの99%は日本人です。さらに、役所はお客さんを選べないので、デジタル環境が苦手な方への配慮が求められます。

役所は、民間企業のように急速にデジタル化を進めることができません。
世の中的には「公務員=安定」ですが、僕の独自理論だと「公務員はやがてリストラされ、リストラ後にスキルが残っていないので、人生の難易度が上がりまくる職業」だと思っています。
公務員の方がいたらスイマセン。しかし、こういった「かなり起こり得る事実」を言う人は少ないので、書きました— マナブ@仮想通貨 (@manabubannai) June 17, 2019
他人の意見ではなく、自分の頭で考えるべき
地方公務員のメリット・デメリットをまとめると、下記です。
✓メリット | ✓デメリット |
○ 充実した福利厚生 | × 給料が下がっていく |
○ 転勤が少ない | × 副業禁止 |
○ 安定した給料 | × 残業が多い |
○ 地方でも給料がいい | × 仕事がつまらない |
○ 社会的な信用 | × スキルが身につかない |
上記を踏まえた上で、ぜひ実践してほしいことが1つだけあります。
「なぜ地方公務員か」を、自分の頭で考える
(僕の話で恐縮ですが)僕が前職を辞めて、地元の市役所に転職した理由は「自分の人生を生きたかったから」でした。
しかし、仕事を辞めるときは、下記のようなことを上司や先輩に言われました。
- 「せっかく入った仕事を辞めるのはもったいない」
- 「給料が落ちるんじゃないの?」
- 「退職金が下がるんじゃないの?」
- 「田舎にいって何が楽しいの?」
本当にたくさんの方から、様々な意見を頂きました(笑)
でも、僕は東京での生活に違和感を感じていたんです。
窮屈というか、ギスギスしているというか。道行く人や店員の表情が冴えない。煌びやかだけど、人間の目はくすんで見えた。
一方で、田舎は、街は廃れているけど人は温かく見えたんですよね。だから、人からなんと言われようと地元に帰ると決心したんです。
参考:「新卒で就職した特別区を辞めた理由【結論:自分の価値観が変わった】
【重要】外野の意見に惑わされないこと
重要なのは「親や友人に勧められたから」「世間体がいいから」といった、世間のイメージや他者の軸で判断しないことです。なぜなら、他人の意見に従うと、自分の人生に責任が取れなくなるからです。
他人が言われたとおりにやってみて失敗したとき、人は他人のせいにします。でも、他人はその失敗の責任をとりません。
でも、自分で決めた人生だとしたら・・・その時は自分の責任にできます。
他人の人生ではなく、自分の人生を生きましょう。人に合わせる必要なんかありませんよ。
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